第15章 箱庭に流れる音色
「分身か何か存じ上げませんが、貴女、猗窩座よりも格下でしょう?私程度に簡単に捕まって滅却されるなんて……本体もたかが知れますね」
本体が更紗より強いことなど、本人が1番理解している。
だが今は相手に自分と同じ怒りを感じさせたいだけ。
そんな更紗の思惑なんて鬼からすればどうでもいい事……ただ自分よりも弱い相手に弱いと言われた事実に逆上して、目や口元から笑顔を消し目を血走らせて更紗を睨み付けた。
『変な力があるだけの弱いあんたに言われる筋合いない!あの方に少し気に入られたくらいで、調子乗ってんじゃ』
「貴女の今の感情、私がずっと貴女に感じていたものです。それに鬼舞辻なんかに気に入られるなんて迷惑なだけ。貴女はもう喋らないでください」
帯の言葉を遮ってニコリと笑みを向けると、更紗は握っていた柄を地面から抜き取り、そのまま帯を斬り裂く。
それと同時に頭上からけたたましい爆音が鳴り響き、地面が轟音と共に崩れ落ちてきた。
辺りに砂埃が舞い、その中から天元、善逸、伊之助が姿を現して立ち尽くしていた須磨と合流するが、いつもなら走りよって来る更紗が背を向けたままその場を動かない様子に目を丸くしている。