第15章 箱庭に流れる音色
『調子のってんじゃないよ!これくらいの損傷、あんたが救い出した奴らですぐ回復するんだよ』
「そんなことさせるわけないでしょう?」
帯が地面に横たわる人へと狙いを定めるが、その前へ立ちはだかって盛炎のうねりで帯を切り刻みながら弾き飛ばす。
血を流しながら帯が怯んでる隙に残りの人の救助を再び開始し、今回の目的の1人を発見した。
その帯を切り裂き、中で閉じ込められている人を外へと解放する。
「須磨さん、ご無事ですか?!」
地面へ落とされる前に更紗はその体を抱きとめて頬に手を当てると、須磨は愛嬌のある目を丸くして首を傾げた。
「姫ちゃん!もしかして助けに来てくれたの?!あの帯は?!」
その質問に答えるように更紗は態勢を整えた帯へと視線を送ると、須磨は不気味な様相のそれに身震いする。
「天元君と一緒に花街に来ました。帯は……あの通りなので、須磨さんは私の後ろにいてください」
そう言って目立った傷のない須磨を立たせてやり、後ろへ庇って帯へと全力で走り寄りながら技の構えをとった。
「紫炎の呼吸 弐ノ型 星炎燎原!」
帯が再び醜悪な言葉を吐く間もない勢いで、辺りに垂れ下がった帯諸共切り伏せるが、目や口付近は体をしならせすんでのところで致命傷を回避した。