第15章 箱庭に流れる音色
「お2人は外でお待ちください。今更かもしれませんが、警戒されるといけませんので。では行ってまいります!」
そんな状況に物怖じせず散歩に行くような元気な笑顔と口調の更紗に、2人は半目になりながらも素直に部屋の外へと移動して行った。
「……?気にしたら負けです。ではさっそく」
2人の視線を疑問に思ったが、善は急げと言わんばかりにいそいそと磔にされている帯へと近付いて深呼吸をひとつ。
「こんにちは、私は鬼殺隊の月神 更紗と申します。稀血であり鬼舞辻無惨が捕らえようとしている者ですが、取り込むと貴方の功績になるのではないでしょうか?私はあなたに捕まってる人を助けたい、あなた方は私を捕らえたい。互いの願望を成就させるために勝負しましょ」
帯に対してのあまりに丁寧かつ堂々ぶりに、外から小さく吹き出す音が聞こえた。
それをもちろん更紗の耳は拾ったが、今はそれより帯が生命活動を維持していて返事と取り込む余裕があるのかが更紗にとって最重要事項である。
聞こえないふりをして耳をすまし、帯から何かしらの返答を待つこと数秒。
血塗れの帯からボコボコと2つの目と大きな口が出現した。