第15章 箱庭に流れる音色
どうにか同行の許可と更紗の案が採用された朝、更紗は髪色を隠す必要がなくなったので、皆の驚きの眼差しを受けながら元の髪型に戻した。
そして藤の花の家紋の家を出る前、天元が以前に任務の依頼に来た時に言っていた潜入時の炭治郎たちの身なりも、全員が涙ながらに受け入れた。
つまり女装なのだが、ついでに天元の指示によって髪の短い炭治郎と善逸の髪が女子に見えやすいように、更紗の手で伸ばされたとかなんとか。
「いいか?今からお前らをときと屋と荻本屋に潜入させる。先に売れた奴が潜入、売れ残った1人と俺で、姫さんが帯に取り込まれた後、どこにどうやって連れていかれるのかの確認、並びに京極屋の張り込みだ。おそらく鬼は昨日俺と姫さんが雛鶴を助けたことで鬼殺隊が来たことに勘づいてっから、気取られねぇように細心の注意を払え。全員危険なのは変わりねぇから、一時も気を抜くな」
と花街の門の前で天元に言われ、ときと屋に炭治郎、荻本屋に伊之助が貰われて行った。
最後に残ってしまった善逸は不貞腐れながら、天元と更紗と昨日の切見世である長屋の一軒に来ている。
幸いなことに帯はその部屋の中の壁に残っていた。
血を流しながら磔にされているという、衝撃的な状態でだが。