第15章 箱庭に流れる音色
「驚かせてすみません。鴉からこちらへ向かうようにと伝令が入ったんです。明日の任務は他の剣士に引き継いで貰うので、宇髄さんと更紗と合流してこちらの件を解決するようにって。煉獄さんにも連絡はいってるかと……要から『キヲヌカズ、カイケツニジンリョクスルヨウニ』と伝言がありましたので」
「そうかよ……こっちの知らせが本部に到着する前にお前らが派遣されちまったってわけね。はぁ……だがお前らやっぱ姫さんと一緒に家に戻れ。雛鶴の話しによるとあちらさんは上弦の鬼だ。派手な殺り合いになる、姫さんはともかくお前らじゃあ階級的にこころもとねぇ」
まさかの帰還命令に部屋が静まり返るが、更紗は天元へと首をコテンと傾げながら笑顔を向けた。
その笑顔は先ほど、天元が引きつった笑顔となったものと同じ笑顔だった。
「私の提案を聞いてくださると仰いましたよね?今、お聞きいただくことは可能ですか?ぜひ聞いていただきたいのですが」
一応お願いとして天元に言葉を紡いでいるが、口調や表情から天元としては聞くしか選択肢がない状態だ。
嫌な予感が再び天元の脳裏を支配するが、約束は約束だと耳を傾けることにした。
「強くなったねぇ、姫さん。嬉しい限りだが今は素直に喜べねぇ……だが聞くと言ったからには聞いてやる!なんだ、言ってみろ!」