第80章 大バカ野郎どもへ
俺はため息をついた。
やれやれ、面倒くさい。
「あの、どうされます…?」
「もうこいつが呪われようが俺どうでもいいんで、さっさと連れて行ってください。」
「アマモリ…!」
「あのなぁ」
俺は少し大きな声で言った。
「お前一体何がしたいねん」
「……」
「ずーーーーーっとお前にはゴールがないやんか。とりあえず来る、とりあえず走る、とりあえずなんかする。それだけや。その結果どうなるかとか、お前ここに来てから一度でも考えたか?」
不死川は沈黙する。
「それはお前の性格かもしらんけど、そんな軽いノリでどうにかなることもないやろ。いいかげん頭使ってもっと真面目になれよ。」
キツイことを言っているのはわかるけど、これ以上ふりまわされるのもごめんだった。
…………ここまで来て帰るとか言われても困るしなぁ。
「アマモリ」
「あ?」
「悪い、呪われてくれ」
そう言われて、俺は仕方なく笑ってやった。
ったく困ったちゃんは不死川の方やな…。キリキリちゃんの方がスパスパしとって見ていてスカッとするわ。
いいも悪いもちょっと他人任せやな。自分主体っていうよりは相手に気を使うというか…。兄弟多いからか?偉そうな時もあるんやけどなー。
それに比べてキリキリちゃんは一人っ子やし家はあんなんやし、全部勝手に自分で決める。
「というわけなんで、呪われてもいいんで会わせてもらうことってできますか?」
「は、はぁ。確かに会いに来るなとは…。」
俺の言葉に看護師さんはオロオロしながらも案内してくれた。
「……こちらの部屋です。停電していて設備が使えなくて…今のところ落ち着いているんですけど。」
「落ち着く?」
「あれ、ご存知ないんですか?ああそうか。停電で電話が繋がらないものね。」
何を言っているのかいまいちわからないが、ひとまず不死川は扉を開けた。
………俺は控えめに、外で待つことにした。