第80章 大バカ野郎どもへ
『実弥に“おはぎの面倒みきれないから迎えに来て”って言って家のこと教えて。』
朝起きたらキリキリちゃんからそんなメッセージが来ていた。
なんのことやろ、と思って電話してみたけど繋がらへん。ああ、これ多分着品拒否されとる。
明日は休みやし、不死川も明日やったら行けるんちゃうやろうか。一応電話してみたけど、アイツは出えへんかった。
まあ仕事やろうな。かくいう俺も仕事や。今日、平日なんやけど…。
ていうかおはぎって何?おはぎの面倒って何?ああ、そういえばあの猫の名前か。寝起きの頭にはいまいち理解できひんかった。
そんな急ぎの用じゃないか、と思って放っておいた。何があったんかわからへんけどそんときは俺も忙しかってん。
春って不動産屋はてんてこまいや。
でもなんか、昼休みあたりにちょっと不安になってん。
だっておかしいやんか、キリキリちゃんが不死川に連絡しろって。なんで自分でメッセージ送らへんのかって。
それに、猫って。
(え、面倒みきれないってどうしたんやろ。)
昼休みになって不死川にもう一回電話したけど繋がらへん。…まあ、教師って昼休みないって言うしそりゃ出られへんわな。
『キリキリちゃんから連絡きたで。都合着いたら折り返してや。』
そうやってメッセージ送るくらいしかできひんかった。本文そのまま送ってもよかってんけど、仕事中やろうしそれやってまうとアイツ集中できひんやろうし。
ひとまず俺からキリキリちゃんにまた電話してみたけど、やっぱりあかんかった。ついでに不死川にももう一回かけたけどあかんかった。
その日はちょっと変な予感がしたんで早上がりにしてもらった。そしてそのままの足でキメツ学園に向かった。
…正直気は乗らんけど、後で後悔しそうやから。