第76章 思い出される過去のアレコレ
さんは実弥くんを受け入れたけれど、彼女の小さな器では耐えられずに粉々に割れた。
壊れて、修復して、壊れて、修復して、その繰り返しだったけど。
多分もう限界なのかもしれない。
だから彼女は新しいものを求めた。その結果が家族。
実弥くんを愛している、愛したい、愛されたい。
でも苦しい。一緒にいると苦しい。どうして自分をこんなに大切にしてくれるのかわからない。理解ができない。
それでも一緒にいることを選んだのは彼女だ。
その結果、さんは壊れつつある。
無償の愛。絶対的な愛。
それを与えれたことがなかったから、今求めている。気持ちはわかる。考えていることもわかる。
実弥くんは……本当の愛をくれないと、薄々気づいたのでしょうか。
どれだけ彼女を愛しても、実弥くんは他人です。結婚しようと血の繋がった家族ではありません。そう思った時、彼女は。
_________母は強いと言いますが。
妊娠で考えが変わったんでしょうか?
恐らく、家族を理解しないと我が子によくない影響を与えると思ったのでしょう。まあそこら辺は感じるのでわかります。
でも。
たまに、思ってしまう。
結婚も妊娠も、まだ早かったのではないだろうか。
この子は……
泣き虫で、弱くて、1人何もかも抱えて…
全部秘密にしてしまうような脆い子なのに。
本当は小さくて、
可愛くて、
いつまでも守ってあげたいなって思った。
手を繋いで、家族ってあたたかいよって。
だけど。
私は、前世で壊れたあなたを前にして、あなたに愛情なんて感情はちっとも出てこなくて。
ただただ傍観者として、石の庭に転がされたあなたを見ていたのです。