第70章 本当に最強?
双子と別れて家に帰り、私は録画していたプロレス番組を見た。
入院中にはまっていたものが今になってもまだ熱が冷めずにいる。これが結構スカッとするし見ていて面白い。
テレビを見ているうちに、実弥が家に帰ってきた。
「おかえり〜」
「ただいま…ってなんだそれ」
「プロレス。たまたま地上波で男子プロレスやってたから録画して…「消せ」え?」
実弥はリモコンを手に取ってテレビを消してしまった。
「ええ!?なぜ!?」
「プロレス禁止!!」
「なんで!?」
急な怒り様に私はギョッとしてしまった。
「ちょっと!何するの!!」
「うるせえ!!お前はいつもいつも余計なもんに手ェ出しやがって!!!」
_______余計なもん?
その言葉が聞こえた途端、さすがの私もプッチンと来てしまった。
「おいこらテメエいい加減にしろよ」
私がゆら、と負のオーラを放つと実弥はビクッと肩を震わせた。
「なんで私の趣味全部ダメって言うのかな〜。お前になんの権利があるのかなぁ〜。いーくんのことは我慢してやったけどよぉ、プロレスなんてたまにみてるだけなのに何がダメなんだ?あ?言ってみろよ。」
「……いや」
「お前は職場でよお、毎日毎日いろんな女に会ってんだろ?私がそれダメとか言ったことあるか?」
「…ありません」
「じゃあ何か?私が女子高生に会うなって言えば満足かゴラ。」
「……いいえ…」
「お前が言ってんのはそういうことだぞ。私は毎日家で仕事してんだ。この仕事携帯を選んだのは私だけどよお、外との繋がりだって欲しいんだわ。わかるか?
お前は私に家で仕事だけしてろってか?寝てろってか?何してもダメダメ言いやがって何様だテメエは…おい話聞いてんのか?」
「……………はい」
「じゃあ私に何か言えよ」
「すみませんでした」
実弥は地面に額を擦り付ける勢いで頭を下げた。
私はリモコンを取り戻し、テレビをつけた。
「さあ、手を洗って着替えておいでね!今日のご飯は春風さんを真似して作ったグラタンなんだよ!」
「……はい。」
実弥の肩をポンと叩いて言うと、彼はいつもより早足で動き出した。
………流石にいいすぎたかな。