第9章 置き土産の正体
阿国が泣き止むのを待って、しのぶとカナエは出て行った。
二人にしてくれと私がお願いした。人が多いと阿国が困る。きっと私より力が強いから、周りの目は気になるだろうし。
「阿国。良い?私の話が聞ける?」
「…、っうん」
阿国は私から体を離した。その顔は涙でぐちゃぐちゃだった。
「もし、もしね。私が死ぬことがあるなら、それはあなたのせいではないの。もともと私は体が弱かったから。」
「そ、それも、それも阿国のせいなんだよ」
「ううん、違う。違うから。」
私はなるべく優しく声をかけた。
「私は断片的にあなたの夢を見ていたの。でもはっきりとはわからないの。」
「うん……。」
「じゃあ、一つずつ確認するね。」
夢の記憶を思い出しながら、慎重に話し始めた。
「あなたは、戦国時代を生きていたの?」
「うん。」
「それで、あなたの故郷は戦に巻き込まれた。」
「そう。」
阿国は頷いた。
「…私、誰にも言わなかったの。自分のこと誰にも話さなかった。」
涙を拭いながら、震える声で続けた。
「全部秘密にしてたの。」
彼女は、私に全てを教えてくれた。