第66章 愛ゆえに苦しめと
一月三日。
今日は実家から自分たちの家に帰る日だ。…寂しいな。
おじいちゃんとおばあちゃんにもポコポコ動く我が子をお披露目できた。実弥は動いたところに立ち合っていないと言うと二人ともケラケラ笑っていた。
「お父さんより先に悪いわねぇ。」
「実弥くんはタイミングが悪いなぁ。お腹の中にいるのなんて今だけなのに。」
こればかりは運がないとしか…。それか、もうお腹の子が意思を持ってて実弥に悪戯してるとか…なんてね。
「そろそろ実弥くん来るかしら。」
「来るねぇ。」
私とおばあちゃんがそう言ったところで、ピンポンが鳴った。おじいちゃんがその様子に苦笑する。
三人で玄関に行くと、いつも通りの実弥がそこにいた。
「おはようございます」
「おはよー!わーいマイスイートおはぎー!」
『俺も会いたかった』
「きゃー!」
実弥が持っていた持ち運び用のゲージを奪い取り、1日ぶりの再会を果たした。
「ッまたお前は薄着しやがって!上着はどうしたんだ!!マフラーは!!!手袋は!!!!!」
「知らない」
「着てから出て来いッ!!!!!」
「えー暑い…」
「寒いんだよなめてんのかァ」
「こら、戻りなさい。」
「ほら…おじいちゃんが上着出してきたから。」
小学生みたいな注意をされ、家の中に戻った。動きにくいほど着込んでから外に出て、実弥の車に乗り込んだ。
「ドアトゥードアなんだから全裸でもよくない?」
「よくねえよ…」
うーん、厚着って嫌いだわ。動きにくいし。
見送りは不死川家もふくめてみんなで見送りをしてくれたので、車の窓から手を振った。
「いやーっめちゃくちゃのんびりしたわ。」
「そうか。顔色良くなったなぁ。」
「めっちゃ寝たもん。」
「そうか」
そんな話をしているうちにあっという間に自分たちの家に到着し、おはぎも久しぶりの我が家に大喜びだった。