第63章 馬鹿の失敗談
おはぎの言った通り外は真っ白だった。
…猫って色がわからないとか聞くけど、あの子はわかるんだな。我が家のペット賢い!!いやまあそれどころではないんですけど!!
今年の冬は特に寒いらしい。今日は雪が積もっていた。ああ、ホワイトクリスマスってやつだな。
(…急いで実弥の誕生部プレゼント買わなくちゃ。)
私は手当たり次第に目についた店に入った。
実弥、最近何か欲しいとか言ってたかな。……実弥も物欲のない人だからなあ〜。
首元が寒そうだからマフラーとかあげたいけど、首が詰まるって嫌がるだろうな。
毎日コーヒー飲んでるからカップとか…上等な豆とかコーヒーメーカーを上げてもいいな。でも、それだと私も使うことになるから特別感がないな。
いつもスーツだからネクタイ…は使ってるところ見たことない。
パソコン作業が仕事で多いらしいからブルーライトカットのメガネとか。でも、似合うかどうかは本人がいないとわからないなあ〜。
数えきれないほどの店を回って、結局は行き詰まった。
時間に余裕はあるとはいえ、永遠ではない。実弥が帰ってくる前に用意したいのに…。
と、どうしようか迷っているうちにキラキラした雰囲気に包まれた店に吸い込まれていった。
……ここって、手芸屋?
キラキラしていたのはビーズか。…こういう店初めて入ったかも。
アクセサリーか。実弥が好んでつけているところは見たところがないな。
お店のポップには『プレゼントは手作りで!』とデカデカと書かれていた。まあ、手芸屋だから当然か。
…手作りか。考えてなかったな。この季節だと手編み…とか?いや、でもそれだと時間がかかるな。
でもビーズとかだと子供の遊びみたいだしなぁ。
色々と悩みつつ、店内を練り歩いているうちに良いものを見つけた。
(これだ!!!)
思いついた瞬間に早速店員さんに声をかけた。
このお店、サービスで手伝いもしてくれるらしい。
お店の人とああでもない、こうでもないとしているうちに大体の形が完成した。
あとはアドバイスをもらって、一旦持ち帰った。
3秒で大事なことを忘れることに定評がある私は家に帰らず、近くのカフェでちまちまと作業を進めた。
その様子が珍しかったのか、他のお客さんや店員さんにもちらほらと声をかけられてなんだか恥ずかしかった。