第63章 馬鹿の失敗談
私はリビングの机に動かされた仕事机に小さな卓上カレンダーが置いてある。
今日は…クリスマスイブ。
12月24日。
ぺらり、と一枚めくって11月のページを凝視する。
11月29日。
そこにはB…アルファベットが書いてあった。
これはbirthdayのBだ。知り合いの誕生日を忘れないようにメモしてある。
11月29日。
ゴシゴシと目をこする。
そこには確かに『実弥B』と書かれていた。
つまり、実弥の誕生日ということだ。
「うわああああーーーーー!!完全に忘れてたあああああ!!!」
リビングで絶叫する私の方におはぎがトコトコとやってくる。
…なんか最近ぽちゃっとした気がするのは気のせいではなく、確実に太っているらしかった。
私たち二人でぐずぐずに甘やかしたし、連れ出した時に鉄珍様や無一郎くんがお菓子あげまくってたからな…。
『どうした、コガネムシでも踏んだか。』
「違うよ、実弥の誕生日わすれてたの!!」
『なんだそんなことか。お前らのいうタンジョウビとかいうやつはまた来るんだろうが。』
「でも実弥の26歳の誕生日は一回しかないんだよ!?!?」
うぎゃー!とパニックになる私をよそにおはぎはどうでもよさそうだった。
『そんなもん、アイツは怒らんだろう。』
「怒らんだろうからいやなんだよ!!申し訳なくなるの!!」
ああ、どうしよう。今から実弥の誕生日ケーキ買ってこようか…。いや、今日はクリスマスケーキ食べるし……。
「……おはぎ、私ちょっと出かけてくる!!」
『あ?外が真っ白だぞ。こんな日は出たらいけないってアイツがそれこそ怒るぞ。』
「いいのいいの!実弥が帰ってくるまで時間あるし、急いで行ってくるよ!!
」
私はドタバタと慌ただしく出かける準備をして、すぐに家を出た。
タクシーを呼んで駅前まで送ってもらい、そこで買い物をすることにした。