第54章 痣、燃ゆる
「いつまでやってんだよ」
実弥が隣で歯を磨きながらうんざりするように言ってくる。
私はとにかく、ペタペタと化粧水を顔面に塗りたくっていた。
「いいの。私の好きでやってるんだから。実弥には関係ないでしょ。」
これでもかというほど保湿クリームをてのひらに出し、ベタベタと顔に塗った。
「おい、もしかしてそれこれから毎日やるのか?」
「うるさい」
「……いや、お前、顔テッカテカ…」
実弥は何やら不満そうだったが、私は構わず塗りたくった。
「なあ、それそんなに大事か?もうやめとけって。」
「お肌すべすべ星人は黙ってなさい!!!」
「だから、テカテカになってるって…」
なんだか一度気になれば全部気になってしまって、私は入念にスキンケアに時間を費やしたのだった。