第53章 心通わせ
あれから一週間。
……目まぐるしかった。
結論から言うと、私は今産婦人科で入院している。
まあ、なんでかと言うと色々あって……
まず、あの後病院に搬送された。妊婦だと告げると病院内は大騒動に。
実弥が連れ添ってくれなかったら私も一緒にパニックになっていただろう。
ともかく、体中にできた擦り傷は放っておいても治る。投げられた石のせいで出血した額も、大したことはなく数針縫っておしまい。傷跡も残らないらしい。
問題は左腕だ。
ブチブチというあの感覚は本物だったらしい。
……神経が切れていた。
「神経が切れるまで腕を引っ張るとか、どんな力でやったんですか??」
病院の先生にそう言われ、実弥は頭を抱えていて私は黙るしかなかった。
その後、一応手術はしてもらったものの、完全には治らないとのこと。リハビリもしたけど動きは悪い。
一通りの処置が終わった頃、みんながお見舞いに来てくれた。
まず一番最初に来たのは優鈴。彼は私の腕を見て落ち込んでいた。
優鈴は外傷も障害も特にないらしく、病室に入ってきた時の姿は元気そのものだった。
「僕がちぎれとか言ったから…ごめん」
いや、そんなことはないと答えた。
優鈴に言われなかったら私はあのまま諦めていたかもしれない。左腕は全く使えないわけでもないから大丈夫だと答えた。
その次に、桜くん兄妹。
「霧雨さんって本当に奇跡みたいな星の下に生まれた人だよね。」
「違うよ、アホなんだよ。アーホっ。」
ひどい。
と泣いたふりをすれば二人とも本当にワタワタして可愛らしかった。
桜くんはお腹に大きな傷が残ったけれど、至って健康。
二人が並んで立っているのを見るだけで、私はたまらなく嬉しくなった。