第46章 お薬どうぞ
電話の後に実弥の部屋のドアを開けた。
実弥は起き上がって布団の上に座り込み、なんだかイライラしていた。
「またかいてるの?」
「かいたらだめなんだろうが。」
それでムズムズしているらしい。腹立たしそうにむすっとしていた。
「…ああ、わかった。あなたそれで寝不足なのね?なんか疲れてそうだなーとは思ったけど。なんでこうなるまで放っておくかなあ。」
「……」
ぐうの音も出ないみたいだった。
「はいはい。私がさすってあげる。」
かゆいという背中を撫でた。かくと悪化するだけだろうし、放っておくのもかわいそうだ。
傷がかゆくなるのは私も経験がある。そんな日は優しく撫でてもらった。そうしたら落ち着くのも知っている。
「……」
実弥は何も言わなくなった。座っていたくせにゴロンと寝転がり、私の膝に頭を置いた。
ここまで甘えてくるのも珍しい。なんだか小さな子供に見えてきた。
「私の膝で寝ても寝にくいでしょ」
「…落ち着く」
「そうですか。」
背中をさすっているうちに彼はウトウトし始めた。やはり疲れていたのだろう。それから眠りにつくまではやかった。
すうすう眠る寝顔は、本当に幼い。
「……はっ、私動けないじゃん」
その後、実弥を起こさないようにとどうにかこうにか頭を膝から下ろし、私は慎重に彼の部屋から出た。
今日はもうそっとしておこうと思い、おはぎと一緒に自分の部屋で眠りについた。