第41章 可哀想な人
それから数日後、私はアリスちゃんと一緒に海のそばに戻った。予想通り童磨くんは行方をくらまし、一連の事件の犯人として創作が始まった。
面識があった私とアリスちゃんはあれやこれやと質問責めにされたが、被害者でもあるので強気に突っぱねた。
アリスちゃんはいつもと変わらない。それに比べて私はぼんやりとすることが増えたかもしれない。
「わ!」
「ん?」
またぼんやりとしているとアリスちゃんが悲鳴をあげていた。
「うそ!いたの!!気づかなかったわ!!」
どうもぼんやりしていると存在感がないらしく、こんなふうに驚かれることもしばしば。
「いや、店番任せれてるのに勝手にいなくなるわけないじゃん!」
「そっそうよね!」
アリスちゃんはニコニコと笑いながらお店に戻ってきた。
「あとお客さん来てるから」
その後ろからぬっと這い出るように姿を現した。
小柄なアリスちゃんと並べば、その巨体が一層際立っていた。
「あ」
「あ」
その顔を見た瞬間に声がハモる。
「え?知り合い?」
アリスちゃんの問いには何とも言えなかった。
「……いらっしゃーせー」
「…のり弁当一つ」
「かしこまりましたー……」
ひとまずいつものルーティーンをこなす。代金を受け取ったのちに弁当をわtらした。
「…久しぶりだな」
「ソウデスネ」
気まずい雰囲気のままそう言葉を交わした。
「…よく…来るんスか、ここ」
「……ああ。のり弁当が安くて美味い。」
「…へえ」
冷や汗がダラダラと流れて止まらない。…空調壊れたかな〜?あ〜なんで私ってばいつもこんなことに。
「…私も一緒に食べていい?」
このまま見過ごすこともできない。意識もせずに深いため息が出た。向こうもそうだったようで、頭を抱えていた。