第37章 動き出した黒幕
お腹を押さえてうずくまる実弥の横でアリスちゃんは綺麗に着地した。
「あ、……あのーー…アリスさん????????」
彼女は金髪を振り乱し、鬼の形相で実弥を見下ろしていた。
「店の敷居を跨いでんじゃねえよ、クズ野郎」
「……す、すんません…!!!」
謝ってはいるが、実弥は額に青筋が浮かんでいた。
「なぁに幸せ者オーラと彼氏面漂わせて歩いてんだテメエ!!脳みそ夢の中に置いて来たんかゴラァ!!!」
「お。おぉぉぉぉぉおおおお」
落ち着いて、と言いたかったが怖過ぎて何も口答えできなかった。
「ちゃんから許してもらった?ああ〜それは良かったねえ。まあちゃんは許すしかないでしょうねえええええええ。」
「…」
実弥は痛がっていたわりにすっと立ち上がった。…まあ、ちゃんと受け身はとっただろうな。あと筋肉でガードもしてたっぽいし。
「ちゃんは許しても世間と私は許さねえからなドグソ野郎。」
え、アリスちゃんってこんなに口が悪かったっけ?????ドグソ野郎て。
「あんた自分のしたことわかってんの?ちゃんがどんな顔してここ最近過ごしてたと思ってんのよ。私、筋の通ってないことは嫌いよ。」
「あ、あの、私は本当に大丈夫だから…」
「ちゃん。あなただまされてるのよ!こんな奴とはさっさと縁切った方が良いわ!!」
急にアリスちゃんがそんなことを言うので、ひどいと思ってしまった。
「黙ってないでなんとか言ってみたらどうなの!?」
それで何も言い返せずにいると、アリスちゃんが核心をつく言葉を実弥に投げかけた。
「テメエ、結婚もしてない女の子を妊娠させた自覚ちゃんとあんのかよッ!!!」
アリスちゃんが怒鳴った。
「出てけ!!女の敵め!!クズ野郎!!!」
アリスちゃんは続けて捲し立てた。
私はただ呆然としてその様子を見ていた。