第36章 許せない
散々泣いてわらった後、私たちはお会計を済ませてお店から出た。
そして実弥がおかしくなった。
「だから!アリスちゃんに迎えにきてもらうから平気だって!!!」
「アホ!!バイクに乗ったら危ないだろうが!!俺が送るゥ!!」
「車は気持ち悪くなっちゃうの!!」
「叫ぶんじゃねえ体に悪いだろうが!!!」
「理不尽!」
さっきから私の心配ばかり。…というか、過保護。
結局しつこいので私が折れた。
「気持ち悪くなったらその度にとまるから」
と、言った通り気持ち悪いと言えば停車して私の背中をさすってくれた。
「次病院行く時は俺も行きてえな」
「…ソウデスカ」
車の方が安全かもしれないけど、こんなことになるならバイクの方が良かった。
実弥は弟妹が多いからか妊婦の扱いには慣れているらしかった。背中を撫でてもらうと安心した。
「そういえば、今どれくらいなんだ?」
「…三ヶ月とか」
「…!そんなに経ってたのか」
「……私が気付くのが遅かったのもある…」
確か、お腹の子供の気配を察した頃には一ヶ月は過ぎていたはずだ。
「お腹張ってきたかなーって。全然膨らまないけど。」
そういうと、実弥は恐る恐る私のお腹に触れた。
「……本当にいるんだな」
「…うん」
その後、私たちはすぐに帰った。実弥はアリスちゃんに挨拶をすると言って私の後ろについてきた。
お店の扉を開けてただいま、と言おうとしたら。
アリスちゃんの綺麗な飛び蹴りが実弥の鳩尾に直撃した。