第35章 頭痛の種
「帰って!!」
実弥を見て固まる私に、アリスちゃんがまた声を荒げた。
「早く帰ってよ!ほら!!!」
ガタガタと体の震えが止まらなかった。ああ、どうして。絶対、知られたくなかったのに。
「」
実弥が名前を呼んだ。ハッとして顔をあげた。目が合う。
「話がしたい」
一歩、また一歩と距離が近づく。
「帰れって言ってんだろおおおおおおお!!」
けれど、彼が私に詰め寄る前にどこにそんな力があるのかアリスちゃんが実弥の鳩尾に右ストレートを決めた。
それがあまりにも鮮やかだったので私は呆然としてしまった。実弥はお腹を押さえて悶絶している。
「ちゃんに近づきたいなら私を通しな!」
「いや…やりすぎでは……」
私はそこで口元をおさえた。
気持ち悪さがピークに達する。
慌てて階段をのぼり、2階のトイレに飛び込んだ。