第31章 最後の繋がり
実弥が私から体を離した。
青白い顔をしていた。押し倒したことをまずいと思ったのだろうか。別に良いのに。
「俺は」
「……」
「俺は、どんなことになってもお前が好きだよ」
実弥は私の頭を優しく撫でた。
「結婚したくないって言われても、突然目を覚さなくなっても、いなくなっても、たとえ他の男に惚れていても、俺はお前が好きだよ。一緒にいたいって思うし、毎日声が聞きたいし、おかえりって言ってほしいし、触れたいし、触れられたい……。」
全部嘘ではない。
嘘なんかじゃない。
「お前が俺といるのが悲しくて辛いって言ってる今も、離したくねェ」
……。
「俺は…お前が好きだよ。」
「うん、それはわかった。」
「…それでも、ここを出ていくか?」
泣きつくようなか細い声だった。
「うん」
実弥はぎゅっと私を一瞬抱きしめて、すぐに体を離した。
「わかった」
そして、だいぶ間を開けてから言った。
「別れよう」
私は黙って頷いた。
一気に緊張が消えていく。やっと終わったという気持ちでいっぱいだった。私は笑っていた。実弥はつられたのか、ほんの少しだけ微笑んだ。