第27章 神様の言葉
天晴先輩がインターホンを押すのがわかった。妙に視界がぼやけて気持ち悪かった。
「今日暑いわね」
先輩がこぼした言葉にさえ反応ができなかった。
ガチャリとドアが開いた。見えたのは懐かしい顔だった。気配さえも懐かしく思える。
…カレンダーを見ないうちに随分と時間がたっていたらしいことを改めて実感した。
「…」
実弥は私の顔を見て驚いていた。
「突然ごめんなさい。私、天晴よ。神社でフラフラ歩いてたの見たから霧雨ちゃん連れてきたの。」
「……」
「ほら、何か言うことあるでしょう。」
先輩に背中を押されて一歩前に出る。
…と言うより、ふらついた感じだったが。
蝉の声がやたらと大きく聞こえた。目の前の二人の気配が薄らいでいく。
「あの…本当に」
自分の声が聞こえない。話しているはずなのに。
ああ、何かおかしいな。
そう思うと同時に、私はばたりと倒れた。