第17章 夏の終わり
「完・全・復・活〜〜〜〜〜っ!!!!!」
一週間も経てばすっかり元通り。急な気分の浮き沈みもなくなり、のびのびと過ごすことができている。
「元気になったみたいで何より。」
「実弥が優しくしてくれたからだよぉ〜。」
「…あんなに弱ってるお前、初めてだったからなあ。」
実弥が遠い目をする。
「…ごめん…定期的に病院行って薬もらうようにするね…。」
「謝るなよ。いつもそんなに辛いなんて知らなくて悪かった。」
「うっ…なんていい彼氏、好きっ。」
「調子乗んなよ」
「すみませんでした」
私たちもいつもの調子に戻ったところで、久しぶりにゆったりとした休日…なのだが。
「でも明日から学園の夏休みが終わって実弥が仕事に行っちゃうなんて寂しすぎて耐えられないッ!!!永遠に有給とって!!!」
「できるわけねェだろ」
「私が養うから!どんな仕事してでも!!」
「やめろ馬鹿野郎」
そう。長かった夏休みももう終わり。実弥にべったりしていられるのも今日で最後だった。
「ぐすんぐすん。仕事始まっても私のこと大切にしてね。」
「いつでも大切に思ってんだよ。」
「え…しゅき」
「お前この下りやらねえと気が済まねえのか?」
実弥にぎゅうぎゅう抱きつく。邪険に扱われることはなく、そう言うところもまた好きだなあと思った。
「…明日から家で何やるんだよ。仕事か?」
「最初に一つ絵を描くつもり。今まで通りできたら再開させるかな。ようやくここまで回復できたしね。いやあー長かったですよ、今年の夏は。」
私は一瞬目を伏せた。
「久しぶりに昔のみんなに会えたのは楽しかったけどね。」
「…そうか。」
「でも、やっぱり今が一番だなあ。」
私がそう言うと、実弥は乱暴に頭を撫でてくれた。髪の毛がくしゃくしゃになったので怒ったら、彼は意地悪に笑った。