第16章 疲弊
実弥がいない間も気分は落ち込み続けた。
自室のベッドで布団にくるまってぼおっとしていた。
おはぎがぴょんと私の顔のそばにやってきて、顔を近づけて擦り寄ってきた。
「おはぎぃ〜」
ぎゅうっとその小さな体を抱きしめた。
しかし、気に入らないのかバタバタと暴れ出したので慌てて離した。
「にゃん」
「…おはぎに嫌われちゃったぁ」
メソメソと泣いていると、おはぎはまた顔を擦り寄せてきた。
『面倒なやつだな』
どこからか声が聞こえた気がした。
『何を落ち込んでいるんだ』
『急にどうしましたか、ガラス』
『今日は元気がないな』
『そういう日もありますよ』
『疲れたのか』
『でも、やることがありますから…あら、急に膝の上に来てどうしました?』
『俺が眠いんだ、お前を枕にするから動くなよ』
『……じゃあ、私も休みますね』
『ふん、俺の主人は馬鹿だからたまにはこうして休ませないとな』
いつの間にか眠っていたらしかった。
目を覚ますと実弥が帰ってきていたので、姿を見るや私はぎゅっと抱きついた。
「おかえり〜」
「ん、ただいま…。ずいぶん顔色が良くなったな。何かあったのか?」
「ううん。懐かしい夢を見たの。」
実弥に抱きつく私の足元で、おはぎがうろうろとしていた。
おはぎは青い目で私を見上げ、愛らしく鳴いていた。