• テキストサイズ

キメツ学園ー輪廻編【鬼滅の刃】

第91章 ただ一つの願いから


泥にまみれていたので、家の中には入らずに中庭に入った。

あちこちに青あざがあるし、端から見れば私はリンチされたとも見えるだろう。


(負けず劣らず私も殴ったけど)


とか、そういうことを考えるのはやめよう。うん。そんな時じゃないよね。


中庭から家の中をのぞき込めば、畳の上にしかれた布団に赤ちゃんが寝ているのが見えた。

…実弥の姿が見えない別の部屋にいるのだろうか。


「う、う」


するとそのとき、赤ちゃんがもぞもぞと動いた。


「うあああぁぁぁ、うう、きゃあああ」


この世の終わりみたいに泣いている。

私は手を伸ばした…が、自分の手を見下ろした。その手は汚れていた。


……こんな手で触れないよね。


「どうしたぁ?起きたかぁ?」


私が途方に暮れてオロオロとしていると、別の部屋から実弥が姿を見せた。


「しかし、すっかり晴れたなぁ…」


と、窓の外を見る実弥とバッチリ目が合った。


「………」


そのとき、どっと後悔した。

…私、どの面下げて帰ってきたんだろうか。


直前の実弥とのやりとりが思い出されて頭が痛くなった。


「にゃー」


すると足下に猫が一匹すり寄ってきた。…茶々丸だ。


「ちゃ、茶々……」

「にゃあ」

「にやああああーーーー!!!」


すると、そんな茶々丸に飛びついたのはおはぎだった。おはぎは茶々丸を押しのけ、私にすり寄ってきた。

それからは猫同士の大げんかだ。


私はあわてて茶々丸を抱き上げた。


「…はい、それでは。」


茶々丸は不思議そうに私を見上げていた。おはぎは怒り狂ってにゃんにゃん言っていた。


どうかお元気で!


と走り出したが、その真正面に立ち塞がるようにして実弥が飛び出してきた。


「待ちやがれこの野郎!」

「おおおおおおおおおおお」


がっ、と踏み込み、実弥の真上に飛んだ。

そうして彼を飛び越えることができたのだが、実弥はくるっと振り返ったかと思いきや鬼の形相で私に飛びかかってきた。
/ 1161ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp