第5章 街へ
急遽決まった街での外食。
あれよあれよという間に乗合馬車で街へ到着した私と煉獄さんは、賑やかな人通りの中を歩いていた。
当初は街までの移動に煉獄さんが私を抱き上げて「うむ!ここは一つ、俺が君を運んで行こう!」とか言い出し始めたのでかなり慌てたが、しのぶさんが苦笑しながら乗合馬車を提案してくれた。
馬車の乗り場までそこそこ距離はあったが、良い運動になったと思う。
「ふむ、確かこの辺りだと聞いたのだが」
ふと、右手を引かれる力が弱まり、斜め前を歩いていた煉獄さんが立ち止まる。
馬車から降りた際、人混みで逸れそうになってから、私は煉獄さんと手を繋いでいた。
何だかデートみたいでドキドキする。
「あ、煉獄さん。あのお店がそうじゃないですか?」
「む?」
視線の先には赤い煉瓦造りの建物があり、入口付近にオムレツライスと書かれたのぼりがはためいている。
「うむ!その様だな!」
二人で嬉々として店の入口を潜ると、店内はそこそこ賑わっている様子。
近くにいたウエイトレスさんが空いてる席へと案内してくれた。