第4章 ギフト
フワリと何かが頭に触れて、そこから意識が徐々に浮上する。
それは優しく髪を梳く様にして頭を撫でていき、そのまま額や頬に触れてきた。
心地好いその温もりに、もっとと顔を擦り寄せると・・・。
「まるで猫の様だな」
「・・・?」
頭上からぼそりと聞こえてきた声に反応して重い目蓋を半分持ち上げた。
視線はフラフラと彷徨い、やがてぼんやりと人形のシルエットを捉える。
そこから伸びていたものがスッと引かれると、頬に触れていた温もりも離れていった。
「あ、れ・・・私?」
いつの間にかベッドに寝かされていた事に気付き、ぱちくりと瞬きをする。
「煉獄さん・・・?」
「目が覚めたか苗字!具合はどうだろうか?」
「あ・・・はい、大丈夫です」
煉獄さんに答えつつ、私はゆっくりと上体を起こした。
あの頭がクラクラする感じはもう無い。
「苗字、君はどこまで覚えている?」
「?・・・何をですか?」
煉獄さんの質問の意図が分からず首を傾げていると、彼は徐に小さな巾着袋を差し出した。
「ふむ・・・では、これに見覚えはないか?」