第3章 鬼殺隊と鬼
蝶屋敷に戻った私は、直ぐ様ベッドに寝かし付けられた。
煉獄さんはというと、額に青筋を浮かべたしのぶさんにこれでもかという勢いで怒られている。
熱を出したのは私が貧弱な所為で、煉獄さんが悪い訳じゃないと思うのだけど。
「煉獄さん、聞いてます?」
「聞いているぞ!胡蝶!」
「声が大き過ぎです。病人の前だと分かってます?」
「む、すまない」
普段優しいしのぶさんは怒ると非常に怖い。
絶対零度の笑みを浮かべ、相手に容赦ない鉄槌を与え続けるのだ。
「あの、しのぶさん・・・もうその位で」
「名前さんは大人しく寝ていて下さい。後でお薬を処方しますので、ちゃんと、飲んで下さいね」
「あ、はい」
クルリと此方を向いた笑顔のしのぶさんは目が笑ってない。
薬はおそらく、必要以上に苦い事が予想される。
駄目だ、私が何か言っても火に油を注ぐだけかも。
「まったく・・・どいつもこいつもですよ」
しのぶさんはポツリと呟いて、ハァー・・・と大きな溜め息を吐いた。