第2章 代償
「煉獄さん、名前さんには会いましたか?」
「うむ、先程見舞って来た!」
「そうですか。じゃあもう知ってるんですね、名前さんの記憶の事。俺もあの人が目覚めてすぐ会いに行ったんですけど・・・」
炭治郎が名前の部屋を訪れた時、彼女からは苦痛の匂いがした。
それでも精一杯の笑みを浮かべていて、怪我のせいもあるのだろうが、名前の様子はかなり不安定だった。
そもそも、彼女は目覚めたら怪我を負い見知らぬ場所に居て、しかも自身の記憶が無いときている。
これで不安にならない方がおかしい。
「また会いに行けばいい!」
杏寿郎は項垂れる炭治郎の肩をポンと叩いた。
「俺は会いに行く、何度でも。そうすれば以前の彼女の事は分からなくとも、これからの彼女の事を知る事が出来るからな!」