第1章 死なせない
もうこの映画を観るのは二十回目だ。
そうして私は毎度泣く。
彼が弁当を食べるシーンから、既に涙腺はゆるゆるだ。
ああ、未だ生きてる。
彼が生きてる。
力強く刀を振るう雄々しい姿。
鬼の誘いを一蹴する気高い心。
叶うなら、彼の命を救いたい。
あんなに人のために生き続けた人が、何故。
二十歳なんて人生これからじゃないか。
死なないで。
死なないで、杏寿郎。
どうしたら彼は死なずに済むのだろう。
例えば、柱がもう一人あの場に居たら?
例えば、炭治郎達が共に戦えたら?
例えは・・・時を巻き戻せたら?