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loop-ループ-いつか辿り着く世界【鬼滅の刃】

第8章 煉獄家


幸せの在り方は人それぞれだと思うけど、愛した人の面影を持つ子供達と共に過ごす日々は、きっと槇寿郎さんにとって掛け替えの無いものの筈だ。
いつか、そう遠くない未来の鬼が居なくなった世界で、この人が家族と穏やかに暮らせる様になれば良いと思う。


「よもやよもや!父上も名前もすっかり仲良くなってしまった様だ!」
「ひぇ!?」

ほのぼのとした空気の中、突如部屋に響く大音量の声。
思わず飛び上がり掛けて振り向けば、片付けを終えたらしい杏寿郎さんが腕を組んで立って居た。
溜め息を吐きながら眉間を揉む槇寿郎さんは全然驚いていなかったから、もしかしたら杏寿郎さんの気配とかを察知していたのかも知れない。
流石は元柱、凄い。

「騒々しいぞ、杏寿郎」
「申し訳ありません!父上!」

微塵も申し訳なさそうじゃない杏寿郎さんは、スタスタと歩いて私と槇寿郎さんの近くに腰を下ろすと、ぐりんと音がする勢いで私の方に顔を向けた。

「父上と何を話していたんだ?」
「ええ?・・・うーん、色々と?」

謝罪と御礼合戦して、息子は凄い奴なんだぜー的な話しと、今後は皆で仲良くしてねーみたいな話し?
どう纏めようかと右手を頬に当てて首を傾げていれば、ズイッと杏寿郎さんの顔が近付いてきて、ジーッと見つめられる。

「あ、あの、杏寿郎、さん?」
「うん?」

先程から杏寿郎さんの圧が凄い。
その整った顔は笑みを形作っているのに、眼だけが何故か笑っていなくてちょっぴり怖い。

「杏寿郎・・・お前、部屋の前で粗方の話は聞いていただろう。意地の悪い事をするんじゃない」
「え」
「よもや。父上には気付かれていたか」
「当たり前だ。殺気立ちおって馬鹿者め」

杏寿郎さんがスッと視線を逸らす。

「名前が余りに父上と親しげなので悋気してしまった。ワハハ!」
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