第8章 ふたりの嘘
「別に変な事はしてねえよ。 呼び出してくんないと、旭の会社のデータん中入ってたあの女の変顔コレクションバラすとかなんとか、適当にカマかけてみたら乗って来ただけで」
「旭?」
「充分変な事だと思うけど……」
やっぱり勝手に私のアドレス抜いてるし相変わらず強引だし。
それに長々とおかしな事を言い訳みたいに話続けている。
不思議と可笑しくて、こちらも笑いそうになる。
「おい、旭」
遥さんが怪訝な顔で立ち上がり私の背中に手を当てた。
なんで私、さっきは間違ったんだろう。
「何いきなり泣いてんだ」
背中をさする、彼の手が暖かい。
私はもしかしてこの人に会いたかった、のだろうか。