第7章 その『理由(わけ)』
「い、っちゃ…ッぁあ…」
予兆はあった。
だけど抗う間が無い。
足先がぴんと伸びて、あっさりと崩されてしまう。
「ぁん、や、……ぁあッ、んっ」
そして今も嬌声を上げ続けてる、これが私?
耐えられなくて遥さんにきつくしがみついてる。
……私が?
その間中、彼はこちらの肩に手を回し抱いてくれていた。
「…いきなり、キツ」
「ぁ、ぁあ…ごめん…なさ」
「は…何で謝るんだ」
「もう…ん、ぁ…ぁあ…無理です…」
何でこんなになるんだろう。
また涙が出ている。
今度は気持ち良すぎて?
今日は遥さんが優しいから?
分からないし、考えられない。
「無理って言われても困る…やんの二週間振りで溜まってんだし、それに」
「んん…ッ」
彼の動きと同じに耳許に低い彼の声がブレて届く。
「あんな奴にやる気は無い。どんな手使っても俺のモノにする」
「は…る…ッ、んく」
今まで熱く粟立っていた肌がぞくりとした。
私を攫わなくても。
手酷く私を抱かなくても。
脅さなくても。
やっぱりこの人は怖い、心と体が私に訴えた。