第7章 その『理由(わけ)』
「そこ、特に奥はこないだは凄く痛くて」
「…ああ」
「怖かったんです」
「まだキツいんだろ…謝んないけど」
彼の指が私の髪を梳く。
クッションに広がっているそれに少しだけ指先を入れて、毛先に沿わすとまた頭を撫でてくる。
そしてまたゆるゆると動いてきた。
そんな彼の言葉と表情、行為が時折バラバラなのは何故だろう。
それでもこんなに切なくて、やっぱり暖かい。
「ん、ん…ゃあ…だめ」
溶けそう、そんな言葉が喉元まで出かかった。
そこばかりを責めるのはわざと?
「辛いか」
「いえ、でも、何で…」
何だか今のこれは熱っぽい。
顔は火照るし頭もぼぉっとしてしまう。
「…旭、ちょっと根元の方握って」
「え……あ」
合わさっている所に手を伸ばし、言われたとおりにする。
男の人のコレ、触るのは初めてじゃないけど。
やはり目が泳ぐ。
そろそろと三本の指で囲ってきゅ、とそれを触ってみた。
「中指外して」
私の手前の指を離すと、遥さんが進める所まで押してきた。
「はぃ…んぁ」
今度は強くて思わず喉を逸らす。
「旭に無理が無いのはここまで。でも段々悦くなる」
「そっ、んな…事」
「それに前より入ってるし、コレ」
「……そ、なんですか」
「そんな風に出来てる。何でか分かるか」
「い、え。なんでですか…?」
「それ位は自分で考えろ」
口角だけでまた意地悪く笑う。