第6章 二夜…裏腹な私と彼
吐息が漏れて言葉を紡げる自信が無かった。
体を傾けた彼が触れている胸に顔を寄せてくる。
「ぁ、嫌」
舌の広い面で撫で上げその膨らんだ周囲ごとごく軽く吸う。
啄む様なキス。
そこがきゅんと甘く疼いた。
「ダメ……」
「何が」
顔が真っ赤になっているのが自分でも分かった。
それを隠すように手の甲で冷ます。
「そんなに優しくしないで」
「どっちだよ」
「だっ、て」
「優しくしない」
少し見下ろすと膨れた乳首が彼の舌に柔らかく潰されて。
その後ちゅ、と唇の中に吸い込まれた。
彼は、嘘つきだ。
「苛めてるだけだから黙って我慢してろ」
「ゃあ…ん」
そんなものを見た後に濡れた口で味われてつい出てしまった声。
「…あ、ごめんなさい……」
『 黙って』そう言われた直後だったので反射的に謝った。
上目遣いでちら、とこちらを見る彼の目が細まる。
髪を切った様だった。
この間より表情がよく見える。
「そうやって啼くのは構わない」
あまり煩いとこないだみたいに口塞ぐけど、その後にそんな怖い事を言った。