第5章 その日から二週間
すぐにカウンターにチーズやナッツみたいなおつまみの様なものから並べられた。
後からサラダなんかも来るから、と。
「所詮酒メインだから大したものは無いみたいだな」
顎でお皿を指して彼は私がそれを口にするのを待っていた。
「……ありがとうございます」
それを一口口にすると彼は可笑しそうな顔をした。
「何ですか?」
パサパサの、余り味のしないチーズだった。
「別に」
彼を睨みながらもぐもぐとそれを咀嚼した。
すると彼は少し微笑んで、最初に見せたみたいに表情を緩めた。
「……遥さんのやってる事は犯罪です」
「そうかもな」
さして気にもとめない様子だった。
「……奴の事ね。じゃ、一つだけ」
そして冒頭の事を口にした。