第5章 その日から二週間
理由を話してくれるまでここを動きません、店内で彼と目が合い開口一番。
そう彼に伝えた。
こちらに目を向けた男が眉だけを上げた。
「……何の理由?」
「あなたが、和泉さんを」
「遥」
私の言葉を遮り自分の名前を主張する。
「橘さんが」
「遥」
「…………」
スマホにはご丁寧にフルネームで登録してる割に、彼は呼び方を譲らなかった。
一文字多くて面倒なのかな。
どちらでも似たようなものなのに。
「遥さん、が和泉さんの何を知っていて、どういう目的であんな…こんな事をしたんですか?」
「……確かに今はあんたが一番割を食ってる様だな。どうせここ二週間、録なもん食って無かったんだろ? そんな顔してる」
そしてメニューから適当に料理を選ぶとオーダーをしてから空に目を移した。
「ガリガリの女は好きじゃない。とりあえず食えよ」