第5章 その日から二週間
あの出来事の後。
明け方重い体を引き摺りタクシーであのマンションを逃げ出した。
無意識に自分の体を庇っていたせいだろうか。
腰と足が酷く重かった。
胸も下半身の中も外も。
肌の表面もピリピリと痛んだ。
帰り際、私の服と荷物はあの部屋の入口に無造作に戻してあった。
念の為にバッグの中身を確認したけど何も盗られてはいなかった。
キャッシュカードも使われた履歴は無い。
少ししか見る余裕がなかったけれど、生活感は余りなかったが連れていかれたあのマンション。
お金に困っているというタイプの建物では無かったし、閑静な住宅街の中にあった。