第3章 攫われて
和泉さんはその容姿と人柄で女性社員に人気があった。
この人は、外見だけは目立つ。
だけど私と和泉さんの会社でこんな人を見た事がない。
会社の企画や広報を担ってる和泉さんの外部にそんな彼を憎む人間が居るのだろうか。
敵ではないとしたら、何の為に私を?
「お喋りはここまでにしようか。さっきからあんたの中にぶち込みたくて仕様が無い」
男が中腰になった拍子に私の体がベッドの上に戻された。
そして窮屈そうにベルトを外し彼が裸になった瞬間私は大きく目を逸らした。
私の背中に腕を差し入れた男が横向きのまま後ろ抱きにして体を密着させた。
この人はまるでものの様に私を扱う。
最初のこちらの抵抗から、言うよりもそうした方が早いと思う様になったのだろう。
だけどその代わりに彼の行動の予測がつかない。
不安に体を強張らせていた。
足の間に奇妙な違和感を感じ、見下ろすと私の腿を挟んで先端のそれが隙間から姿を現した。
その熱さと大きさに驚いて、曲げてた体を真っ直ぐにして避けようとした。
すると彼は上体と膝を寄せてぐっ、と私のお腹に手を当て抱き寄せる。
結局、元と同じ様に男と体を重ねてしまう。