第11章 朝を待つ間
こうして終わりを迎えた私の婚約。
話だけはしていた私の田舎の親も友人の香織も、もちろんその破談に驚いた。
「でもねえ、ちょっと分かるような気もする」
私の部屋に遊びに来ていた香織。
そんな彼女の言葉に首を傾げた。
「だって旭、いつもの旭だったもん」
シナモンを振ったミルクティーのマグカップを両手で温めつつ聞いた。
「どういう意味? それ」
上手く言えないけど、と前置きの後、彼女は顎に指を当てた。
「こう、話聞いた時、少なくとも恋しい人とそうなるって感じじゃなかった? 何だろね。空気感……オーラ? うん、お花畑的な幸せオーラが無かったのね。 単にあの時はまだエッチもしてないからかなって思って、黙ってたけど」
「そうなのかな? あの時は幸せだったと思うよ、私」
「んー、それよりはあのカフェで会った、別の彼の時の旭の方が、らしかったと思う。 待ち合わせて会った時の恋人?みたいな、そんな顔してた」
「…………」
まあ性格には難アリっぽいけどね。
未だ苦々し気な表情の香織から詳しい話は聞かなかった。
それにその話…和泉さんよりどちらかというと、遥さんの話をするにはまだ辛かったのが正直な所。