第34章 緊急事態、柱合会議
「え!?悲鳴嶼さん…!な、泣いちゃっ……きょ…煉獄さん…どうしたら……!!」
杏寿郎は "煉獄さん" と呼ばれた事に笑顔を浮かべながらももやもやとした感情を抱いて眉をピクッと動かした。
杏「……悲鳴嶼さんは普段からよく涙を流している!!今は恐らく嬉しいのだと思う!!」
そう言われて急いで見上げると確かに小さく微笑んでいた為 桜は安堵から息をつく。
しかし行冥の羽織りに "南無阿弥陀仏" と書かれている事に気が付くと今度は落胆の息を吐いた。
「浄土教の方なんだ…。煉獄さん…悲鳴嶼さんはユキに会っても信仰して頂けなさそうですね…。」
杏寿郎を見上げながら桜がそう小さな声で伝えると、杏寿郎はまた呼び名に反応して眉を僅かに寄せる。
桜はそれに違和感を覚えるも理由を問うより前に杏寿郎が口を開いてしまった。
杏「そもそも一ノ瀬家へ赴いてくれる柱が一人でもいれば万々歳だ!そう気を落とす必要はない!!気にするな!!」
「……そう…ですね。」
杏寿郎が常に同じ様な声色で大きな声を出す為、感情が読みにくくなって桜は不安を覚えた。