第33章 準備期間
杏「ユキ、いるか。」
杏(…………いないか。昨夜ここへ帰ってきてから姿を見ていないな。なるべく桜をここへ一人にしておきたくないのだが…。)
鬼を斬ったあと桜の元からほとんど離れなかった為、杏寿郎は済ませたい事をあまり消化できないままでいた。
杏(二人は水琴さんにあの鬼の事を何か説明したのだろうか。水琴さんが黙っているとは思えない。それから風呂の件も…、)
ユ『杏寿郎、何の用だ。』
ユキは屋敷内には居たようで 持ち前の地獄耳から杏寿郎の声を拾っていた。
杏「助かった!桜を見ていてやってくれないか。あまり一人でいさせたくない。」
ユキはその言葉に目を細める。
ユ『勿論構わない。私がしっかり見ていると約束しよう。』
杏寿郎はユキの柔らかく嬉しそうな声に明るい笑顔を返すと颯爽と部屋を出ていった。