第32章 ※ちぐはぐな心と体
杏「抵抗があるのなら君が言った婚約指輪だと思えば良い。明日の帰りに買おう。」
「え!あ、明日ですか…?杏寿郎さん…、今日言いましたが私にお金使いすぎだと思います…。」
桜が思わず上体を起こして少し諌めるような声を出すと杏寿郎も体を起こす。
杏「無駄遣いではないだろう。それに今まで食費以外ではあまり使い道がなかったので余裕は十二分にあると思うぞ。」
それを聞いた桜はどこか他人事のような言葉に違和感を覚え首を傾げた。
「鬼殺隊のお給料?ですか?」
杏「うむ!一番下の階級の隊士にもきちんと出る。俺は頓着しなかったから昔の金額は覚えていないが 柱は上限がないようだ。屋敷も貰えるが俺は不自由していないのでな。金も屋敷も申請しないでいたらお館様が見兼ねて決まった金額を家に送って下さるようになった!今どのくらいあるのかは千寿郎が知っているだろう。」
桜は杏寿郎の無頓着さに口を薄く開く。
そして街での振る舞いは買い物の経験が乏しい故なのだと納得がいった。
「そう、ですか……。」
杏「桜も命を危険に晒して戦いに協力するのだから当然金を支給されるだろう。隊服も支給されるかもしれないな。…………隊服か。」