第32章 ※ちぐはぐな心と体
「………でも、他の男の人の前では杏寿郎さんと一緒にいる時しか人の姿にならない約束ですよね…?」
せっかく柔らかな雰囲気になっていたのにも関わらず、桜が失言をした為に杏寿郎は体を揺らした後ピリッとした空気を纏ってしまった。
杏「君は今日、俺の知らぬ間に二人の隊士と知り合っていたな。」
それを聞いて忘れていた桜はギクッと体を震わせた。
杏「君は彼等を怖くなかったと言って大層喜んでいたが、まさか気を許してはいないだろうな?」
(………で、でも、結構お話ししたけど 茂雄さんも隆史さんも悪い人には到底思えな、)
杏「早速君に欲情し、君の声を聞きながら疲弊するまで自慰に狂っていたようだぞ。」
「……………………え…?ふ、二人が……何…を、」
余りにも予想外な事を言われた為に桜の思考は追いつかなかった。
対して杏寿郎はその反応に眉を顰めながら体を離す。
杏「何だその反応は。本当にもう気を許していたのか。俺は男を警戒しろと再三注意した筈だぞ。それなのに早速俺の居ない所で君を使って自慰をする男達と楽しそうに…ああ、手も握っていたな。」
「……あ、あの…っ!あの時はユキがいて…それにこの姿にしかなれなくて、」
杏「よもや君ともあろう子が真っ先に言い訳をするとは驚いたな。君はもっと良い子の筈だろう。」