第29章 大神さまの正体と目的、暴力の訳
―――お前…崩れ、減る…鬼…還さない……直接、ない…お前、…
(…な、に?…………、)
桜はその言葉の拙さに戸惑った。
(だ、誰……ですか?ごめんなさい…ちょっと言葉がふわふわしていて良く分からないで、す……。)
それが聞こえたのか、聞こえないのか、暫く沈黙が続いた。
―――崩れた、鬼が還さない…多く食べて…死ぬと何も残さない…だから還らない…崩れた…
女性の声になったそれは、速さもゆっくりになり 内容も分かり易くなった為、桜は少しほっとする。
(…鬼が人をたくさん食べた後、何も残さない、還さないって事かな……。崩れたとは何ですか……?)
―――……………。
(……………あれ……?)
また暫く沈黙が続いたあと、桜とそっくりな声が響いた。
―――鬼はたくさん人を食べるのに、何も残さずに消えちゃうでしょ。普通ならこの世の全てのエネルギーは変化する時にそのまま同じ価値のものに変わらなきゃいけないのに。