第27章 仲直りとお買い物
「…人目がありますので……、」
桜が諌めようと大きな手に自身の手を伸ばすと、杏寿郎は逆にその手をパシッと捕まえて真剣な目を向けた。
杏「やはり手を握ってくれないか?」
桜はその行動に困ったように顔を赤くしたが 杏寿郎の目の中に何か強い理由を感じ、暫く迷った後 結局折れて小さく頷いた。
すると杏寿郎は目を大きくして明るい笑顔を浮かべ、同時に纏う空気を和らげる。
杏「では先に呉服屋へ行こう。おいで。」
桜はその優しい声に柔らかく微笑むと 導く手を握り返して頷いた。
――――――
杏寿郎は馴染みの呉服屋に着くと、『女性の装いには疎いから見繕ってくれ!』と桜を預けた。
桜は杏寿郎と離れると知って不安そうな顔をしたが、自分等二人と店主の奥さん以外に人が居ない事を確認するとすぐに顔色を明るくさせて店の奥へ付いて行った。