第27章 仲直りとお買い物
杏「すまない!君が愛らしくて意識を飛ばしてしまっていた!大丈夫か?」
杏寿郎が心配そうに眉尻を下げて向き直ると、桜は人目を気にせず ぽすんと杏寿郎の胸に顔を埋めて震える呼吸を整えていった。
「今はもう全然怖くないです…。意識は飛ばさないでくれるととても嬉しいのですが…。」
体を胸に預けたまま見上げていた桜が小首を傾げてそう遠慮がちにお願いすると、杏寿郎はまた固まりかける。
杏「………君は……そういうところだぞ。」
杏寿郎はそう歯切れ悪く言いながらなんとか手を動かすと、困ったように微笑んで桜の頭を優しく撫でた。
一方、その優しい表情に道行く女性が頬を染めたのを見て桜は眉尻を下げる。
「杏寿郎さん…それはお家でだけにして下さい……。」
杏「む?どれだろうか。」
杏寿郎は桜の予想通り 心当たりがないという表情で首を傾げると、また目を細めて桜の頭を優しく撫でた。
桜は思わずそれを指摘しようとするも、朝の杏寿郎の言葉を思い出し 自分も嫉妬を自身の中で解消できるように頑張ろうと思い直す。
「……いえ、何でもありません。そのままでいて下さい。」
そう言って桜が少しスッキリとしたような笑顔を浮かべると、杏寿郎は微笑んだまま また小さく首を傾げた。