第25章 嫉妬の対策と変わる関係
―――カラカラ…
遠慮気味に開く戸の音が響き、湯船に入って気を抜いていた杏寿郎はバッと振り返って大きな目を向ける。
そして口を薄く開いて固まった。
杏「……桜。どうした。」
桜は杏寿郎の体を冷やさないようにすぐに戸を閉めると ゴムで髪を結い、真っ赤になりながら湯を汲んで体を洗いだそうとする。
杏「桜。」
状況を把握したい杏寿郎はもう一度桜の名を呼んだ。
すると桜はビクッと桜色の体を震わせてちらっと杏寿郎を見つめる。
杏「一体どうしたんだ。答えてくれ。」
そう問われると桜は視線を外して少し俯いた。
「…あともう少し待って下さい。」
杏寿郎ははっきりしない返事に眉尻を下げたが、頷くと湯船の縁に片腕を乗せ 背を向けて体を洗う桜をぼんやりと見つめる。
杏(項と背中の噛み跡はきちんと残っているな。首のは治されてしまったか。)
―――バシャッ
桜は桶のお湯で体を流し終わると深呼吸をしてから振り向き、湯船にいる杏寿郎の元へ寄った。