第23章 ※愛し方
そう言う杏寿郎の顔を見て桜は胸を隠しながら目を見開く。
額には青筋が立ち…、そして頬は僅かに上気していたのだ。
「え……ぁ…、大丈夫です…。」
自慰の時とは違う、恥を孕んだ余裕の無さに桜は驚いた。
(杏寿郎さんもそういう感情があるんだ……。)
そんな事を思いながら桜は杏寿郎をぼーっと見ていたがハッとして勢い良く俯く。
杏「どうした。」
杏寿郎が眉尻を下げて心配そうに桜の肩を掴むと桜は情けない声を出した。
「このお布団…夜までに乾くか心配です……。」
それを聞くと杏寿郎はパッと桜を抱き上げる。
そして桜が座っていた所に染みが出来ているのを見ると納得したように微笑んだ。
杏「気にするな。俺の部屋で寝れば良い。」
杏寿郎がそう言いながら桜を片手で抱え直して濡れた布団を愛おしそうに撫でるので桜は羞恥で真っ赤になった。
杏「それにしても何故胸を隠す。他の男ならともかく俺には見せてくれても良いのではないか。」
杏寿郎が心底不可解そうな顔をしてしまうので桜は眉尻を下げる。
「きょ、杏寿郎さんだってさっき恥ずかしかった筈です…!それと同じ気持ちです!」