第19章 特異体質と未来への期待
そう言われて杏寿郎は目を大きくした。
杏「それはいつまでだ?」
特に考えていなかった桜は、困ったように視線を外して首を傾げた。
(正直、時間を空けても改善するように思えない…むしろ我慢させたら解禁した時に殺されちゃいそう……。)
そう思うと桜はすぐに諦めた。
だが、杏寿郎はまだこちらをじっと真剣に見ていて、桜と目が合うと切な気に眉尻を下げる。
それがなんだが可愛らしく思え、桜は悪戯心をくすぐられた。
「じゃあ杏寿郎さん、おあずけの代わりにお仕置きをします。」
桜は悪戯っぽく上目遣いで見つめると、杏寿郎の首元までずり上がり首をこしょこしょとくすぐり始めた。
杏「…桜!」
杏寿郎は桜の初めて見る笑みに気を取られて反応が遅れた。
桜の顔を確認すると、先程とは違ったなんとも楽しそうなふわふわとした笑顔を浮かべていた。
杏「……………。」
杏寿郎はその顔を見ると愛おしそうに目を細める。
「あ!くすぐり返しは今回はしちゃだめですからね。これはさっきのお仕置きですから。」
桜は楽しそうな顔をして、釘を差すように ちょんっと杏寿郎の鼻に人差し指を乗せた。
杏「むぅ。」
杏寿郎は桜があまりに楽しそうなので、不満そうな声を出しつつも微笑んだ。